課題番号 0011
補修作業の自動化・高度化に関する技術
2023年01月10日~2023年02月28日
募集終了
2023.01.10
補修作業を自動化・高度化して施工品質を向上させ、インフラの維持管理コストを低減したい。
愛知道路コンセッション(株)は、厳しい社会情勢の中にあっても変わらずに低廉かつ安全な道路をご利用いただくため、インフラの維持管理コストを低減しながらも確実に構造性能が保たれるよう維持管理を実施しています。
これまでの我が国の維持管理は、劣化が顕在化してから大規模修繕を実施する『事後保全』で進められていました。しかしながら、新たな維持管理方針として『予防保全』という考え方が打ち出され、近年主流になりつつあります。『予防保全』は、損傷が生じる前もしくは軽微なうちに小規模修繕を実施してトータルコストを縮減する、という方針であり国交省もこれを基本としています。運営開始から6年を迎えた今、愛知道路コンセッション(株)もその流れに追随することが必要と考えています。
ただし、図-1に示すように、理想的な『予防保全』は小規模修繕を早期に実施して大規模修繕を無くすことが目的なので、修繕の回数自体は増えることとなります。よって、修繕による性能の回復はもちろん、作業時間の短縮、ひいては作業に伴う交通規制の解除を早める、もしくは規制無しで可能とする技術が求められます。このような理由から、本テーマでは補修作業の自動化・高度化に関する技術を募集します。
図-1 事後保全と予防保全のメンテナンスサイクル
引用:国土交通省「予防保全によるメンテナンスへの転換について」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001375673.pdf
補修作業は変状が生じた部位や材料、変状の種類・程度によっても異なるため、その対策も多岐にわたります。多くの構造物に採用される鉄筋コンクリート構造(RC構造)は、鉄筋腐食やコンクリート自体の劣化によって、ひび割れや断面欠損といった変状が生じます。主に前者に対してはひび割れへの薬剤の注入・充填、後者に対しては欠損した断面への補修材の塗付けといった補修が施されます。
ひび割れ注入工法の様子 |
断面修復工法の様子 |
橋梁でよく見られる鋼構造は、鋼材腐食による板厚減少や断面欠損といった劣化が生じる恐れがあり、腐食が軽度な段階で対策することは『予防保全』において重要になります。軽度な腐食への対策は塗替え塗装が一般的で、新たな塗装段階はもちろん、その前段階にあたる素地調整も施工品質を左右する要因になります。
塗替え塗装における素地調整 |
塗替え塗装の様子 |
多くの補修作業に共通することの一つは、人の手で行う作業が多い点です。補修作業は高所や狭所で実施することも多いため、人力で施工せざるを得ないケースもあります。そのこと自体に問題はありませんが、品質や進捗が作業者の技能に依存することになり、また作業時の安全対策を徹底する必要があります。
こういった人力作業の機械化・自動化が進めば、技能によらず一定の品質で施工されるようになり、作業効率の向上につながる可能性があります。作業効率の向上や低コスト化が進めば、従来は劣化が顕在化してから対応していた補修作業が、微小な段階または顕在化する前の段階で予防的に実施できるようになることも考えられます。
また、補修材(補修剤)を扱う作業は、新たな材料に変えるアプローチも考えられます。例えば、強度や対候性といった品質の向上であったり、速乾性の材料や施工性の良い材料により作業時間を削減したりするなど、新材料の適用は補修の高度化も見込めます。
一方で、前述の通り『予防保全』においては顕在化する前に対処することも非常に重要になります。そのため、ひび割れがコンクリート表面で確認された段階で補修剤を注入・充填するのではなく、顕在化する前に塗布しておくことでひび割れの発生を防止するような材料や技術は、『予防保全』の観点で効果的になります。
そこで、愛知アクセラレートフィールド®では道路構造物の補修作業を自動化・高度化することによって、施工品質を向上、またはインフラの維持管理コストを低減するために以下の技術を公募します。
【実証における制約条件】
ご提案の内容により、個別に検討・設定させていただきます。
【フィールド候補】
室内試験:茨城県、前田建設工業(株)ICI総合センター施設内
現場試験:愛知道路コンセッション(株)の運営する道路等の構造物
※応募者の状況に応じて、ヤードや開催時期の調整をさせていただきます。