PROJECT REPORTプロジェクトレポート

REPORT 0007

三次元レーザレーダを用いた逆走検知システム

2019.12.11

「三次元レーザレーダ」の応用で課題を解決

 本技術実証は、課題0003「逆走車両・歩行者の侵入防止」に対応しており、(株)IHIが開発した「三次元レーザレーダ」(3DLR)の技術を応用しています。

 本技術は、(株)IHIの三次元レーザレーダを用いて、道路上で発生した逆走検知、進入禁止領域にいる歩行者を自動で検知し、警告を発することで、対象者が安全に退避するための支援を行うことができます。

 

 【三次元レーザレーダの特徴】

 三次元レーザレーダはスキャンしながらレーザ光を照射することで連続的に距離を計測し、物体の高さやサイズ、移動速度などを検出することが可能です。この検出した物体データを解析することにより、車両や歩行者、進行方向などを識別し、逆走や禁止領域への侵入などを検知することが可能になります。

 

図1 三次元レーザレーダの動作原理

 

株式会社IHI

 関連URL

 会社HP:https://www.ihi.co.jp/

 三次元レーザレーダ紹介HP:https://www.ihi.co.jp/3DLaserRadar/

 

逆走車両・歩行者侵入を検知できることを実証

 技術実証として、セントレア東交差点付近で計測を行いました。

 図2は三次元レーザレーダと評価用のカメラを実験現場へ設置した状況を示しています。

 

  

図2 実験状況(左:センサ設置状況、右:試験現場写真)

 

 三次元レーザレーダは、図3に示すように車両や歩行者を識別して検知することが可能です。今回、前述の実験環境にて2か月程度のセンサでの計測結果、カメラデータを収集し、データ解析することで逆走や侵入歩行者を検知するアルゴリズムを構築しました。このアルゴリズムにより図4のような逆走車両や侵入歩行者を正確に検知することができることを確認しました。また、同時にアルゴリズムが通常走行している車両を逆走と誤認識しないかの評価も2か月間のデータで行い、特殊な状況を除いて誤認識が発生しないようなアルゴリズムを構築しました。

 

図3 カメラ画像と三次元レーザレーダの識別例

(左右とも同時刻同地点)

 

図4 計測結果の写真(左:逆走検知結果、右:歩行者検知結果)

 

 本実証によって、正確に対象物を検出することが可能であることが確認できたため、本技術を利用した逆走検知システムの実現可能性は高いと考えらます。

 

今後の展望

 今後は警告表示板等による検知結果の警告手段、運用方法などを検討、評価していくことによって、より実用性の高いシステム構築していく予定です。

 本実証技術を導入することで、道路利用者の安全な道路使用のための道路管理をサポートし、より効率的で正確な運用が可能になることが期待されます。