PROJECT REPORTプロジェクトレポート

REPORT 0003

5Gを用いた「社会インフラ×IoT」の実証

2019.04.12

第5世代移動通信システム「5G」の通信技術を実証

 本技術実証は、Wireless City Planning株式会社様およびソフトバンク株式会社様が総務省の「高密度に展開された端末の多数同時接続通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」を行うにあたり、愛知アクセラレートフィールドの自由テーマ(課題番号9999)の中でインフラモニタリングのデータ通信を実証したものです。

 近年、モニタリング技術による社会インフラの維持管理の効率化が期待されていますが、5Gによって多数のセンサが同時に無線接続できるようになる、あるいはデータ量の大きい情報をリアルタイムに収集することが可能になると、モニタリング技術の活用の幅が広がることが期待されます。そこで今回、実証実験のパートナーとして協力することとしました。

 実証実験は、以下3つについて行いました。

 

① IoTによる橋梁の健全性監視(衣浦豊田道路 牛田料金所付近)

 今回試作開発された5G-mMTC※1無線機を使い、橋脚の上端あるいはゴム支承に多数(32個)設置した加速度センサのデータを同時に収集する実証を行いました。この5G-mMTC無線機には、5Gの特長の一つとされる多数同時接続の要素技術「NOMA※2(Non-orthogonal Multiple Access)」および「グラントフリーアクセス※3」が実装されているとのことです。実証の結果、多点で計測した特長的な振動特性を、リアルタイムで監視できることが確認されました。これにより、災害発生時の橋桁や橋脚の異常検知が遠隔地からリアルタイムに可能になると期待されます。

 

 

② AI(人工知能)によるインターチェンジ監視

(知多半島道路 半田中央インターチェンジ付近)

 ソフトバンクが開発した「おでかけ5G」(高い通信品質のサービスを局地的に提供できる可搬型5G設備)を、知多半島道路の半田中央インターチェンジ(愛知県半田市)に配置して、5Gの特長の一つとされる大容量通信を用いた高精細な4K映像の伝送とMEC※4サーバーよるAI画像解析を行い、落下物や逆走車を検出する試験を行いました。その結果、高精細な4K映像を解析することにより、HD画質では検出できない小さな物体をAIにより検出できることが確認されました。これにより、落下物や逆走車などの道路上の異常を自動的に検知できるため、道路の安全監視の効率化や見落とし低減への寄与が期待されます。

 

 

③ IoTによる渋滞監視

(知多半島道路 大府インターチェンジ周辺の上り車線)

 IoT無線技術とソーラーバッテリーを活用した簡易トラフィックカウンターを道路上に5基設置することで、渋滞の検出精度を向上させる試験を行いました。その結果、特定地点の渋滞発生を検出できたことに加えて、渋滞の長さを従来よりも精度良く検知できることが確認されました。これにより、ドライバーに対して、より正確な渋滞情報を、より迅速に提供することができるようになると期待されます。

 

 

 5Gは、愛知有料道路の管理においても、利用者の走行の安全をより高めるために有用な技術と思われます。今後とも5Gの実証が進むことを期待します。

 

※1 5G-mMTC(5G-massive Machine Type Communication): センサーなどからデータを収集するため、多数の通信機器との同時に接続する通信技術

※2 NOMA(Non-Orthogonal Multiple Access):同じタイミング・同じ周波数に重畳されて受診した複数の信号を分離する技術

※3グラントフリーアクセス:移動通信において、移動端末が基地局から通信許可(グラント)をもらわずにデータを送信する方式

※4 MEC(Multi-access Edge Computing):端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や高速化をすることができる技術