REPORT 0002
車両走行音から路面性状を推定する技術
2018.10.22
「音響解析技術」の応用で課題を解決
本技術実証は、課題0002「走行車両の乗り心地・安全性の改善」に対応しており、パイオニア様の音響解析技術を応用しています。本技術は、集音マイクにより取得した車両走行音のデータを解析することで、路面の劣化状態を評価するものです。
【音響解析技術の特徴】
音響解析技術には以下のような特徴があります。
パイオニア株式会社 研究開発部
関連URL
https://jpn.pioneer/ja/corp/crdl_design/crdl/
個人情報に関するお知らせ
https://jpn.pioneer/ja/privacy/oshirase/
この技術を課題0002に当てはめたところ、以下のことから課題を解決できる見込みがあることが分かりました。
路面評価手法のMCI※に近い路面評価の可能性を確認
南知多道路の走行を中心とした技術実証において、車両に設置する集音マイクの取付け位置を適切に設定し、パイオニア社独自のデータ解析手法を適用することにより、MCI(Maintenance Control Index:舗装の維持管理指数)と高い相関を示す結果が確認されました。
※MCI(Maintenance Control Index:舗装の維持管理指数)とは、「ひび割れ率」、「平たん性」、「わだち掘れ量」の項目について、舗装の維持修繕の要否を判断するための基準となる指数のこと。
※国土地理院の電子地形図(タイル)にMCIと車両走行音データを掲載
MCIと音響解析結果との比較
路面における修繕必要箇所のスクリーニングに適合
本技術を活用することで、路面性状の定量的な評価が日常業務の中で自然にできるようになることが期待されます。
これまで、路面性状を定量的に把握するためには、特殊な車両により測定を行う必要がありましたが、この技術が実用化されれば、日常的に実施している道路パトロールの“ついで”に路面状態の定量的なデータが取得でき、修繕が必要な箇所をスクリーニングすることが可能になります。
今後の展望
今後も継続的に車両走行音の収集・蓄積を進めることで、データの分析精度が向上し、技術者がデータ分析を行わなくても路面性状の劣化度合いを推定できるようになることが期待されます。また、路面性状の把握が日常的に行えるようになることにより、修繕が必要な箇所に対して速やかに措置をとることが可能となるため、利用者の皆様にとって”乗り心地の良い”快適な道路の提供に役立つと考えられます。